楽器選びのポイントとは?

ブログをご覧頂き、ありがとうございます♩

今回のテーマはこちら

楽器選びのポイント

これからレッスンを始めようと考えていらっしゃる方や、まだ演奏経験が浅い方にとって「楽器選び」は未知の世界。

何を基準に選んだら良いのか、どこに注目して選べば良いのか、さっぱり分からない…

そんな方々に向けて、当教室では分数サイズに限り楽器のレンタルを行っています。

ただ、中には「子供に楽器を買い与えたい」という理由で、レンタルではなく楽器を購入される保護者さまもいらっしゃいます。

一方、大人になってからレッスンを始められる方は、フルサイズからのスタートとなります。分数サイズとは異なり、頻繁に替えることもないため、購入するにも勇気が要りますよね。

楽器を購入する場合、まずは師事している先生に相談することをおすすめしますが、「そもそも先生に相談すること自体がハードルだなぁ」と感じる生徒さん、保護者さまもいらっしゃるようです。例えば…

・先生に「予算は?」と尋ねられても、楽器の相場そのものがよく分からず、答えに窮する。

・(レッスンを受講するお子さまの年齢が小さい場合)保護者さまが本人の(レッスンに対する)本気度をはかりかねてしまい、そもそも楽器を与えて良いものなのか、迷う…。

こういったお声を頂戴することがあります。

今回の記事では、(現在師事されている先生に相談することを大前提としつつ)私が楽器を選ぶ上で重要だと考えるポイントについて、ご紹介したいと思います

きちんと調整された楽器かどうか?

楽器にとって必要なメンテナンスが施されているか否か?は、私が最も重要視しているポイントです。

いきなりですが、あなたはテレビやネットなどのメディアを通じて、ストラディバリウスやガルネリといった名器がオークションにかけられている様子をご覧になったことはありますか?

クリアケースの中に整然と納められた美しい楽器たち。あなたの目には骨董品のように映るかもしれません。

もしくは驚くような高値で取引されていることの方に目を奪われるかもしれませんが、ここで一旦値段のことを忘れ、考えて頂きたいことがあります。

レッスンで使う楽器は「演奏」という用途を満たす「実用品」でなければなりません。鑑賞目的の骨董品と、演奏に使用する実用品。両者の用途は、明確に異なります。

実のところ、楽器は完全体としてその姿を永遠に保ち続けることは出来ません。楽器の状態は気候や経年、保管状態、さらにはその楽器を演奏する演奏者の手腕によって、刻々と変化します。

楽器にとって最適な材木を使用し、かつ優れた職人の手で製作された楽器──それが仮に億単位で取引されるような名器であったとしても、然るべきメンテナンスを怠っていたり、演奏されていない状態が長期間続きますと、楽器はそのポテンシャルを充分に発揮することが出来ません。

職人の手を離れた後も、人の手を加える必要があるのです。多くの奏者が楽器のことを「まるで生き物のようだ」と形容する理由は、ここにあります。

クリアケースに入れて鑑賞する分にはメンテナンスは不要ですが、演奏する(レッスンで使用する)ことを目的とするならば、プロ、アマチュアに関係なく、定期的なメンテナンスは必須です。

メンテナンス不良の楽器や、長期間眠ったままの楽器を演奏することは、奏者にとってストレスとなります。

特に楽器を始めて間もない、演奏技術が未熟な段階にある生徒さんにとって、メンテナンス不良の楽器を演奏するストレスは一層の重荷となって、奏者にのしかかります。

なにせ楽器を手にしたばかりの頃は、思い描くような音を出すだけでも一苦労。それでいて、使用している楽器がメンテナンス不良だったとしたら、どうなるでしょうか?

折角頑張って練習しても、楽器が奏者の演奏技術向上を妨げてしまうという「悲劇」を招きかねません。

初心者向けの楽器も、調整次第では演奏に耐えうる楽器になる

プロ奏者とアマチュア奏者では楽器を購入する目的が異なりますので、この先はアマチュア奏者が楽器を購入するケースに絞って、お話を進めていきます。

レッスンを楽しめるポテンシャルを備えた楽器が欲しい。けれど、一つの趣味に高額のお金をつぎ込むのはちょっと…。

こちら、生徒さんから頻繁に頂戴するお声です。ここで先程の話を思い出してみて下さい。

いくら値の張る名器であっても、メンテナンスを怠ったり、長らく奏者がいない状況が続けば、そのポテンシャルを発揮することは出来ない。

メンテナンスや奏者の存在がいかに重要であるか、ということをご説明してきた訳ですが、それはすなわち

値段が、必ずしも楽器の善し悪しを判断する物差しにはならない

とも言い換えられるのではないでしょうか。

私はプロ御用達の楽器工房からショッピングモールに店舗を構える大手楽器店、はたまたネット通販まで、幅広い価格帯の楽器を手にしてきました。生徒さんの楽器選定にも何度も立ち会いました。

そういった数々の経験を通じて学んだのは、(極端に安価な楽器は、避けた方が無難であるのは確かなものの)手に取りやすい価格帯で販売されている初心者向けの楽器であったとしても、然るべきメンテナンスを施された楽器は充分演奏に耐えうる、ということです。

「メンテナンスの重要性を、初心者用の楽器でもって痛感した」と言っても過言ではありません。

勿論、楽器選びの決め手は楽器の性能、状態だけに限りません。「奏者個人の好みの音か否か?」という点も押さえたいところです。

ただ、奏者自身の中に「好みの音」というものが確立されていない段階においては、メンテナンスが充分かどうか怪しい高額の楽器を購入するよりも、まずはきちんとメンテナンスが施された安価な楽器を購入することをお勧めします。

レッスンを重ね、少しずつ好みの音や理想の音がイメージ出来るようになった段階で、楽器の買い替えを視野に入れても良いのではないでしょうか。

演奏出来ずとも、メンテナンスの「程度」は判別出来る?

ここまでお読み下さった方の中には、こんなことに気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。

「それってつまり、店頭に並んでいる楽器でもメンテナンス不良なものがある、ということ…?」

業界に関わる人間としては「いいえ!」と否定したいところですが、実際、調整や管理が行き届いていない楽器が店頭に陳列されているケースは、残念ながら無いとは言い切れません。

その点を踏まえますと、楽器の選定は、師事する先生やプロの奏者に同行してもらうのが一番理想的です。

しかしながら、その選択が難しい生徒さんもいらっしゃるかと思います。

例えば、

・遠方在住の先生のオンラインレッスンを受講している生徒さん

・近所に楽器店がない地域にお住まいの生徒さん

・師事する先生が多忙な生徒さん

こういった生徒さんにとって、先生に同行してもらうことは非現実的だったりしますよね。

「そうは言っても私、まだそんなに楽器を弾きこなせないし、耳で聴き分ける自信もないし…。メンテナンスがされた楽器かどうか、自分で判断出来るかな?」

そう思ったあなた。実はメンテナンスの「程度」は、目視で確認出来る箇所がいくつかあります。楽器が演奏出来なかったり、専門的な知識を持っていない方でも見分けられるポイントが、少なからず存在するのです。

それらを全てクリアしている楽器は、100%メンテナンスが行き届いている、とまでは断言出来ませんが、楽器を選ぶ上で最低限の目安には成り得ると思います。

次回の記事では

目視で確認出来る、楽器のメンテナンスチェック

というテーマで、チェック項目をお伝えしていきます。お楽しみに!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部卒業。同大学研究科修了。
第31回「茨城の名手・名歌手たち」出演。第3回日本奏楽コンクール第3位。2016年度茨城県芸術祭県民コンサート奨励賞。
NHK水戸、茨城放送各番組に出演。
桐朋学園大学附属子供のための音楽教室元講師。 内山ヴァイオリン教室主宰。

コメント

コメントする

目次